ヨーロッパでは、昔のパンはみな丸い形をしていた。 それも時間がたつとカチンカチンになってしまい、ナタで割ったほどだという。 割っても固くてなかなか食べられない。 そこで、パンをスープやワイン、水などに浸して食べるのが常識だった。
スープという言葉は、ヨーロッパではかならずパンの入っているもの、 あるいは水分に浸したパンそのもののことだった。
だから、今日でも、スープは食べるもので、飲むものではない。
(木村尚三郎、ヨーロッパの窓から、講談社)