ドイツ語では、名詞の前にその名詞を説明する長々と続く形容詞(句)がよく見られる。
日常会話には出てこないが、専門の文献を読むと、たいていお目にかかるものである。
定冠詞 ........ 名詞 この間に入る形容詞句のことである。
こうなると普通の定冠詞+形容詞+名詞の構文なので、形容詞の変化をきちんと
覚えておくことが構文解釈のポイントとなる。
【冠飾句の例】 die bekannte Stadt 有名な町 die sehr bekannte Stadt 非常に有名な町 die in der ganzen Welt bekannte Stadt 全世界に知られた町 die jetzt in der ganzen Welt bekannte Stadt 今に全世界に知られた町 die weltbekannte Stadt 全世界的に有名な町 【冠飾句の分類】 形容詞を基礎にしたもの Der Ruhm der in aller Welt bekannten Stadt gruendet sich auf die einmalig schoene Lage am Neckar. 全世界に知られたこの町の名声は、ネッカル河畔の比類なく美しい地形に基づいている。 現在分詞を基礎にしたもの Zu dem Panorama der Stadt gehoert die Alte Bruecke und das im Kranze gruener Waelder liegende Heidelberger Schloss. 「古い橋」と周囲を緑の森にとりかこまれたハイデルベルク城は市の景観の1つである。 過去分詞を基礎にしたもの Im Studentenkarzer wurden in wegen "boesen Treibens" verurteilten Studenten arrestiert. 「学生牢」には、いわゆる「乱暴狼藉」のために罰せられた学生たちがとじ込められた。 未来受動分詞を基礎にしたもの Das ist ein nicht so oft zu findendes Beispiel. それはそうちょいちょい見出せる例ではない。 なお、簡単な形容詞は前に置かれる。形容詞と冠飾句が並べられる例 Der grosse, aus rotem Sandstein errichtete Bau ist die Stadthalle. 赤い砂岩で造られた大きな建物は市民会館である。 (大きな赤い砂岩で造られた建物と訳すと間違い)
基礎ドイツ語第24巻第10号(昭和49年2月)の尾崎盛景先生の記事を参考にしました。