鳥山明の名作「ドラゴンボール」を中国で見かけたのは、もう6年前。
中国語訳の本を研究室の大学院の学生に見せたら、彼が机の引き出しから原書を
すぐ出してきたのには驚いた。絵は全く同じ。出版社と契約して翻訳しているからなのだ。
先日、東京の書店で「ドラゴンボール」ドイツ語版を見かけたので買ってきました。
私は第14巻(PICCOLOS GEHEIMNIS)を買ってきました。
一緒に英語の本も買ったので、係員からこのコミックは英語ではないことを確認されました。
第14巻(PICCOLOS GEHEIMNIS)を買ってきたわけは、この巻で
孫悟空が死んだKuririn やMuten-Roshi やChao-Zuを生き返らせたいと
なんとか竜に願うわけです。
その竜も実は殺されてばらばらにされていたわけですが、神様(ピッコロに瓜ふたつ)
にお願いして実現できそうという筋書きだからなのです。
以下に楽しいドイツ語の勉強です。
コミックのせりふは大文字で書かれています。 慣れたらこのほうが読みやすいのでしょうか。 やっと死闘の末、邪悪なピッコロを倒したことを 高い塔の上のネコの姿をした仙人に報告します。 ABER AN SEINEN SIEG HABE ICH NICHT GEGLAUBT. BESTENFALLS DARAN, DASS BEIDE STERBEN ! どちらも死んでくれたらよかったのにとネコ仙人の本音が出ます。 竜が死んだので、もはや願い事は実現されないことをネコ仙人は言います。 でも悟空が何度も何か方法がないかとしきりに頼むものだから 考えた末にネコ仙人はとうとう思いつきます。 VIELLEICHT GIBT ES DOCH ETWAS ! WAS ?! WIRKLICH ?! JA ! EINEN WEG....KOENNTE ES NOCH GEBEN ! WELCHEN ? SAG SCHON ! JEMAND MUSS ZUM SCHOEPFER DER DRAGON BALLS GEHEN ! ドラゴンボールを作った神様のことを言うわけです。 そして、その神様に会うために悟空はさらに高い空中の 神の宮殿に向かいます。 苦労して宮殿にたどりついた 悟空の前にインド人風の男が現れます。 BIST DU GOTT ? ICH SEIN POPO..... DIENER VON GOTT. DU SEIN SEHR STARK FUER MENSCH.... WOHER WEISST DU DAS? GOTT WISSEN ALLES! GOTT SEIN GROSS! 神様の召使いというこの男ポポの言葉はどこか変です。 DUで始まる文章は(正調ドイツ語なら)変化が難しいのに、 このインド人風男は三人称GOTTもみんな動詞は原型です。 外国人も動詞の変化が難しければ、みな動詞の(変化なし)原型を使えば よいのでしょうか。 ポポは強くてさすがの悟空も勝てません。 勝てないと神様に会えない。 でも友だちの命を助けたい悟空はあきらめません。 そこらをランニングして体を鍛えます。 WAS DU JETZT TUN? WEITERKAEMPFEN ODER GEHEN? UNSER KAMPF KOENNEN DAUERN NOCH VIELE JAHRE ! ICH BLEIBE ! ICH MUSS ES VERSUCHEN ! DU GEFAELLST MIR ! WAR DAS GOTT ? JA. ICH WERDE DICH EMPFANGEN ! DU HABEN GLUECK. ポポは何年も戦いが続くぞとおどかしますが 悟空はここで頑張ると答えると、神様が「気に入った」と 声をかけます。 神様はさすがにDUの動詞も正しく使っていますが、ポポは あいかわらずでたらめです。 そして彼らの前に姿を現したのは なんと邪悪なピッコロとうり二つの神様だったのです。 WAREN PICCOLO UND ICH EINS. WIR WAREN SEHR STARK ! むかしピッコロと一体だったという神様の秘密が語られます。 ICH WEISS, WAS DU DIR WUENSCHT. ABER NICHT EINMAL ICH KANN TOTE LEBENDIG MACHEN. DOCH SHENLONG.... IST MEINE SCHOEPFUNG ! DESHALB KANN ICH IHN WIEDER BELEBEN, UM DEN REST MUSS DU IHN BITTEN ! JA ! DANKE ! ABER ICH ERFUELLE DIR....NUR DIESE EINE BITTE ! BITTE MICH DANACH NIE WIEDER UM EINEN GEFALLEN. DU MUSST LERNEN, DICH ALLEINE....DURCH DAS LEBEN ZU SCHLAGEN. 神様は一度だけしか頼みを聞かないと悟空に言います。 たった一度しか許されない願い事を悟空が頼むと、 神はばらばらにされた竜をポポに命じて、竜を生き返らせます。 7個の珠を集めると竜が出てきて、それで何でも願い事を聞いてくれる。 そのパターンで死んだ人間も生き返ることをコミックの中で やってみせると、子どもたちは失った命は竜に頼めば生き返ると誤解して かけがえのない命の意味を学ぶことがない、そういう批判に 作者が反省したから、このせりふが出てきたのでしょうか。 ドラゴンボールもキン肉マンも、死んだ友だちが友情で生き返ることになっています。 テレビゲームで死んだキャラクターもリセットボタンを押すと生き返る。 そんなことに慣れて、今の子どもたちは命の大切なことを忘れているのではないでしょうか。 ウサギや金魚を飼っていると、死んだらそのペットとは永遠の別れです。 命のかえがえのないこと、命の尊いこと、命は大切にしなければならないこと そういうことをちゃんと教えないといけないと思うのです。 ドラゴンボールもキン肉マンもテレビゲームも、命の尊さを教えるのに 反対のことをしているという私の意見は、大学生の賛成が得られないことがあります。 大学生は命の尊さを知っていても、小学生や中学生はそうではないのではないか と私は思うのですが。