構造力学2の最終試験 その分析

   試験のできなかった学生の答案の間違い分析

1998.2.9のいつもの講義の時間に1時間の最終試験をしました。
普段の成績がよい人は、この最終試験は免除(もちろん評価は優)ということを
しています。実はこの免除制度は10数年続いているのです。

毎年採点していて、計算力不足が気になります。
明らかに勉強不足で、手も足も出ないという答案もあるが、最初の式はあっている
のに計算を進めていくと、間違いが出てくる答案が意外に多い。
そこで、分析して、ホームページに記録しておこうと思う。
来年以降に参考になるでしょうから。

というのは数年前のこと。2001.2.13に最終試験を採点して、やはり計算力不足が気になります。

トラスの部材力の符号を間違えている。引っ張り力は+、圧縮力は−
ということが理解していない。最初はみんな+に仮定して計算するのだと何度も
説明しているのだが。自分で都合よく部材力の符号を変えて(最後まで自分の定義
を守ればいいのだけど)、結果の表示を間違えて表示している。

ちゃんと力の定義を理解していないから、途中でふらふらするのだろう。
確かに力の概念は難しいけど。トラスの問題は理解力をみるのには適切だ。

出発の釣り合い式は正しいが、次の移行した式でマイナス符号をつけ間違えている。
基本的な計算力が足りないから、計算間違いをする。こういう例は相当ある。

最小仕事の原理の計算なので、2次放物線を計算するのに、出発の式が違っている。
M=-qx2/2+X1x とすべきなのに
M=-qx/2+X1x としている答案
M=-qx2+X1x としている答案
M=-2qx2+X1x としている答案
M=-2qx2+1x としている答案
M=qLx-qx2/2+X1x としている答案
など、不注意というか理解不足であろう。
M=-qx2/21x としているのは最小値を与えるX1が負数
になってしまい、自然現象としておかしくなる。

最小仕事の原理の計算で、(1/2)∫(M2/EI)dx の積分計算ができない。
そもそも積分区間は問題によると0から2L(Lではない)なのに、
教科書の例題の通りにLまでしか積分していない答案がある。
積分の外に1/2が付いているのに、いつのまにか分母の2がなくなっている。
答は真の値の2倍になってしまっている答案が数枚あった。

2次方程式はX1についての2次式になるはずなのに、
計算途中でX12が次の式ではX1になってしまっている答案。自分で写し間違いをしている。
これでは答が間違うのは当然だ。

2次方程式の変換で、W=m((X1−p)2+q) という 計算ができていない。
その計算はできていても、W=m((X1−p)2+q) =m(X1−p)2+mq
とする計算ができない。
そういうわけで、最後にWの最小値をmqとしないで、qを答とした者は残念!
という感じである。でも、30点は与えたけど。

途中経過の式も説明もなく、突然天から降ってきたかのごとく
答だけ書いている答案。
計算式が途中ぬけて誘導が続けられているのに、答だけあっているというのも疑わしい。
というわけで、今回もカンニング防止のため修士課程や4年生の学生を10名以上
応援を頼んだが、何には突然答だけ出てくる答案もあった。

分数の計算で間違っている者もかなりいる。計算力が不足している。
センター試験の弊害か。