建設設計製図 特別講演
「松尾橋梁(株)橋梁事業本部長 北川正博氏 21世紀の橋梁について」
 3年生の感想文 2000.12

ワープロ印字で提出されたもの 橋梁に関することだけではないと思うが安全の基準や費用の問題というのはいつの時代 も一定ではなく常に変わりつづけているということを強く思い知らされた。以前は「軽い 橋こそ良い橋」という思想のもとつくられていたのが人件費と材料費の逆転により現在で は人手のかからない橋を目指しているというから技術というのはまるで生き物のようであ るな、とつくづく思う。また、風が思いのほか橋梁に大きな影響を及ぼすということを聞い たときには意外に思った。例え微弱な風でも共振により橋が落橋してしまうのだからあな どれない。巨大で豪快なイメージがある橋梁分野だが風に耐震、疲労や荷重と様々なとこ ろに気を配る必要があり、しかもその上費用が安くなるように考えなければならないとい うことを知り以前に自分が思っていたよりも繊細で緻密な分野なのだと感じた。 これもワープロ印字で提出されたもの 「橋梁の歴史は落橋の歴史…」と何かの本で読んだことがある。そんな土木の歴史を踏 まえ、現在、世界最長の橋梁である明石海峡大橋(支間長:1990m)が完成しその機能 を十分に果たしている。そして、21世紀には支間長3000〜3500mの超長大橋梁が実現 できるそうである。これからの超長大橋の実現には「地震」、「風」、そして「疲労」に対 しての対策技術が必要とされるという。私たちの住んでいる日本は地震大国であり、また、 台風の通り道ともなっていることを考えるとかなり重要視しなければならないところで ある。 この他に、私がこの講演で特に考えさせられたのが、21世紀の橋梁の解決しなければな らない諜題である。それは、「建設費のコストダウン」と「事業の採算性」である。「建 設費のコストダウン」については、従来の多主桁形式から少主桁形式の橋への技術的発達、 施工技術の発展などいろいろな面で努力され、実現している。「事業の採算性」について は、橋梁でなくても現時点でこのような問題はいくつかある。 しかし、全てにおいて利 益を求めようとすれば今までの土木事業は無かったと私は思い、また、この講演の中でも 「一時的には利益をもたらさなくても将来に向けて革新的な技術の発達を促し、新しい価 値を生みだすことができる」とあったように、私も「土木構造物の利益目的以外の新しい 価値」があると考える。土木事業は社会生活の基礎となる構造物や施設を建設し、あるい はそれを手段として自然環境や社会環境を開発・保全するための経済的活動である。しか し、土木事業は以下の点において一般の経済活動と異なる。 ・公共性を有していること ・誕生までの懐妊期間が長いこと ・地域性に富むこと ・不可逆性を有していること 土木施設・構造物は上記の特徴を持ち、長期間にわたって市民生活をサポートしており、 その機能が失われても、市民の思い入れは継続し、地域性を培っている。ここで、自分な りに「21世紀の橋梁」を考えると、上記のような土木施設・構造物の特徴上、「最新技術 を駆使した橋梁は勿論、さらに市民の記憶に残る、土木遺産と呼ばれるような橋梁」では ないかと考える。そのため、新しい橋梁の計画も重要なことであるが、今まで市民生活を 支えてきた橋梁をはじめとする上木構造物のメンテナンス(延命)も大切なことではない かと思います。 以下は手書きの感想文  まず、最初に岩大を卒業された方の話で、ポンツーン上に鋼桁を載せた橋梁が でてきたが、橋脚が浮きのようなものだったら、今までの橋よりも安価でできて、 さらに、橋を取り壊すときも安くできそうだなと思った。また、岩大の卒業生の 方の様子を見て、就職してからは日々勉強で、それが定年退官まで続くのだろうな と思った。  北川さんの「21世紀の橋梁(鋼橋)について」の話を聞いて、橋というものは 時代とともに変化し、その時代の社会を反映した設計がされてきたということが 分かった。また、21世紀に向けて橋が解決すべき問題は、(1)風(2)疲労(3)地震 (耐震・免震)の3つであるということが分かった。  普段なにげなく渡っている橋ですが、今日の北川さんのお話を聞いて、いろいろな ことが分かりました。  橋の技術用語には、ストレス、疲労、リラクゼーションなど、普通人の状態に使う ような言葉が使われていることを初めて知りました。  特に疲労は材料力学では非常に重要な用語のようで、北川さんは、何度も重要だと おっしゃっていました。人間など動物は、休んだり休息をとることによって疲労が 回復するが、橋の構造材料の疲労は回復しないということで、橋が疲労しないための 設計は、とても大変そうだと思いました。  また、北川さんは耐風についてもおっしゃっていました。風によって落橋した吊橋 タコマ・ナローズ橋は撓度理論と弾性理論の適用の究極的な構造として補剛桁の 剛性を非常に小さくして経済的な設計がなされ安全なように設計されたのにも かかわらず完成後4カ月で風による振動によって落橋したということで風力も恐ろしい と思いました。  この事故がきっかけで、橋の耐風設計法は大きく進歩したということで、失敗は成功 のもとという感じだと思いました。  北川さんは、橋の設計で重要なのは、「疲労、耐風、耐震」ということを、何度も おっしゃっていたので、それを頭に入れて、橋についてこれからも学んでいきたい と思います。  まず始めに、岩大の卒業生の方から、資料に基づいて橋の種類や構造について、 話してもらいましたが、まず現代では鋼橋が多く、橋別橋梁延長の比率でも約半分を 占めていることがわかった。また、パーツを減らすために、主桁等の各部位を一体化し、 合理化が行われているといったこともわかった。また、印象的でおもしろかったのは、 資料にも写真が載っていたポンツーンについてで、詳しくは分からないということ だったが、ポンツーンを用いた橋を見てみたいと思った。  その次に、北川さんから、実体験を交えた貴重な話をいただいた。まず、昭和30年代 の傾向は、機能重視でなるべく軽い橋を設計しようと各社が競っていたことや、その後 の橋梁設計の変遷の話だったが、この話を聞いて、やはり、経済的な面が最も重視され ているという印象を受けた。また、最後の方には、橋作りに関して重要なことに、 疲労を挙げて、現在の新幹線の通る陸橋(コンクリート)は、ほぼ毎月修理が行われて いるといっていたが、橋にも寿命があり、その寿命をできるだけ長くする技術の開発が 必要なことも分かり、とても参考になった。  今回のお話のテーマは”21世紀の橋梁(鋼橋)について” ということで、これからの時代の橋梁はどうあるべきかについて説明してくれた。 話の中で、橋というのは一般に供用年数は約50年であり、理論的にはこれから 毎年1万橋あまりを架け換える必要があると言っていたが、このことは素人の目から 見ても、ちょっと無理な話であるかと思う。現在の日本の経済状況や公共事業の見直し が問題になっている今、新しく架け換えることは不可能に近いと思われる。 このことから、これからは橋の補修工事が多くなっていくのではないかと思う。また、 これから新設する橋梁については、一般的に言われる寿命の50年を超える橋梁を 設計する必要がある。このような問題はこれから就職する人、すなわち自分達の年代 の人が取り組んでいかなければならないと思う。橋梁について勉強している自分達に とって、避けては通れない問題であると思った。  このような暗い話題ばかりでなく、明るい話題もあった。その中で講師の人は、 超長大橋梁を作ってみたいなどと目を輝かせながら話をしてくれた。やはり、この業界 に関係している人が目標としていることがこのことなのかなあと思ってしまった。 実際に自分が社会人になって超長大橋梁を設計したときの自分の姿をちょっと想像 してしまった。しかし、このことにも問題は生じるのである。講師の人が説明して いたが、新しい挑戦には必ず問題が発生する可能性があるらしい。この問題を克服する ためにも、他分野の技術革新と連動させた「新しいもの」を創るという意識が最も 重要なことであると言っていた。  講師の人のお話を聞いて、21世紀の橋梁のあり方、また自分達が21世紀に向けて 何をやっていけば良いのか、わかったような気がする。 締切日に電子メールで送られてきたもの 長大橋の話は大変興味があるものだった。 橋が果たしてきた役割は大きなものだと思う。 橋がなかった時代は、川の向こう岸との交流が困難だった。 今や、島と島を結び、短時間で移動が可能になった。 風や波、地震など自然現象にも目を向けた設計をしなければならない。 長い橋ほど、考慮しなければならない点がたくさんあるだろう。 やりがいもあり、完成したときの感動も大きいと思う。 しかし、むやみに橋を作るのは問題である。 一つの橋を作るのに必要な額は大きいものであり、環境破壊にもつながる。 本当に必要なのかを考えなおし、今までの橋の補修に力を注ぐほうが先ではないかと 考える