建設環境工学通論 平成15年度 応用化学科&材料物性工学科3年生

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電子メールできた優秀回答 落ち葉
●落ち葉
 日本は大変山の多い国で、国土の約70%が森林で覆われている。樹木は常緑
樹と落葉樹にとに大別されるが、落葉樹においては寒季または乾燥季の前に一
斉に葉を落とす。
 落葉とは、古くなった葉が枯れ落ちると云う植物の老化現象の一種で、植物
にとって大変重要な生理作用である。葉が老化し、枯れて脱落する前に、蛋白
質、核酸、クロロフィル(葉緑体)などの細胞内容物が分解される。その構成成
分である窒素、リン、カリウムなどの栄養素は、種子や地下茎などの貯蔵器官
や若い器官に流出され、再利用される。
 落葉の原因は、温度、光、温度などの外因と遺伝性、代謝、栄養条件、形態
学的条件などの内因が相互に関連している。外因の幾つかは、植物ホルモン生
成のバランスを変化させる。老化の促進は、葉の細胞において植物ホルモンの
一種エチレンが生成されるためと考えられている。秋が深まり、日照時間が減
少し気温が低下して来ると、代謝の仕組みが変化して、葉内の蛋白質などの養
分が茎の方に転出し、クロロフィルが分解され消失する。そして、やがて葉は
落葉して捨て去られる。
 通常、落葉期になると葉身または葉柄の基部に利離層が形成される。道管細
胞は離層組織によって分断され、物質の流通は次第に妨げられ、葉身は離層の
処において容易に剥げおちる。この離層の形成も植物ホルモンの複雑な制御を
受けており、葉の老化が進行すると、葉柄細胞がエチレンを生成するようにな
り、このエチレンが離層の発達を誘導する。このほか、アブシジン酸もその進
行に影響する。また、気温の低下により、根の活動が衰え吸水作用が低下するの
で、葉が普通に蒸散活動を続けると樹木は衰弱してしまうため水の収支のバラン
スを保つため葉を落とす。
 
またこのテーマを調べていて落葉の一段階前の『紅葉のしくみ』について疑問を
持ったため調べてみた。
 秋が深まり、朝晩の気温が低くなると、木はこれから始まる冬の冬支度とし
て、木本体の水分確保のため、自ら呼吸をし、乾燥してしまう葉と枝の間に離層
を作り、水分や養分を運ぶ管を閉ざす。その結果、水分、栄養を得られない葉が
様々な色に変化するのだ。
 紅葉は葉の中のクロロフィル(葉緑体)成分が分解され、新たにアントシアニン
と呼ばれる赤い色素を生成するために起こる。アントシアニンの生成は植物の種
類や品種によって、遺伝的にかなり決まった性質をもっている。その他、光線の
強さ、温度などの周囲の条件によってもかなり左右される。また、葉柄と枝との
間に離層と呼ばれるコルク化した細胞の層ができ、この層は養分や水を通さない
ため、葉で作られた糖類やアミノ酸類が葉にたまり過ぎるようになる。そうする
とアントシアニンの生成が促進され、葉が赤みを帯びてくるようになるのだ。植
物の種類ごとに紅葉の色が異なるのは、この紅色系色素と共存しているクロロ
フィルや黄色、褐色の色素成分の量的な差によるのである。
 黄葉は黄色の色素であるカロチノイドによるものだが、この色素は早春の若葉
の頃から、すでに葉の中で生成されている。春から夏にかけては、活動の盛んな
クロロフィルの緑色に覆い隠されているため目立つことがないが、晩秋、クロロ
フィルが分解して移動すると、代わって葉の表面に現れてきて人の目に見えるよ
うになるのだ。
 もみじの中には黄褐色や赤褐色など、褐色系に変わるものもある。黄褐色の葉
はタンニン性の物質(主にカテコール系タンニンやクロロゲン酸など)や、それと
複雑に酸化重合したフロバフェンと総称される褐色物質が蓄積するためである。
黄葉や褐色の色素成分は、量の多少はあるがいずれも紅葉する葉にも含まれてお
り、紅葉の色調変化の原因ともなっている。

                     K本 M子