段 梅氏の博士論文の審査要旨

審査結果の要旨                                                           

   建設工学において、梁や板やシェルなどの解析モデルは色々な領域に利用され   
  ている。これらの問題の有効な数値解析手法は構造物の設計に対して工学的な価   
  値がある。一般には、境界条件や荷重条件の制約が少ない有限要素法が広く使わ   
  れている。要素内の連続な変位場を仮定して解く変位型有限要素法に対して、要   
  素内の連続な変位場と力の釣り合いの成り立つ応力場を同時に仮定して解くのが   
  混合型有限要素法である。ハイブリッド有限要素法では、要素間境界において、   
  それぞれ変位の適合条件と応力の釣り合い条件を満足するように定式化し、これ   
  らの連続条件をラクランジェ乗数法を用いて一部緩和することで剛性マトリック   
  スを誘導している。ハイブリッド/混合有限要素法はハイブリッド法と混合法の両  
  方の利点を持っている。計算精度をあげるために、一度計算した結果に基づいて   
  要素の再分割を行うアダプティブ有限要素法と、ハイブリッド/混合有限要素法   
  を組み合わせると更に計算精度が上がることが期待される。本論文では、板およ   
  びシェル構造物を対象にしたアダプティブハイブリット/混合有限要素法を提案   
  した。アダプティブ法をハイブリット/混合有限要素法と組み合わせるにあたり、  
  5−節点と6−節点のハイブリット/混合有限要素法をはじめとする様々な板お   
  よびシェル要素を開発した。また、数学的理論に基づき、それらの要素の事後誤   
  差評価式を提案し、アダプティブ法に応用した。                                
   以上のような背景に基づいて行われた研究の成果は下記のようになる。         
  1)薄板から厚板までの曲げ問題について厳密解を誘導し、ライスナーミンドリン  
  板理論に基づいたハイブリッド/混合有限要素法による解析を行い、厳密解と比  
  較することでその有効性を示した。さらに、Hellinger‐Reissnerの原理に基づいて
  新しい5−節点と6−節点ハイブリット/混合有限要素法の板要素とシェル要素  
  を提案した。提案した要素は、理論的に収束性が保証され、変位型有限要素法な  
  どに見られる解の不安定現象や"locking"現象は生じなかった。また、分割が粗く  
  ても、比較的良い結果を与えることを示した。                                 
  2)アダプティブ法をハイブリット/混合有限要素法に組み込ませるために、板と  
  シェルに関する計算値の残差を集合させた事後誤差評価式を提案した。様々な数  
  値計算例を通じてこの提案した事後誤差評価式の有効性を示した。               
  3)板とシェル問題に対して、4節点、5節点、6節点と8節点の四辺形要素を誘  
  導し、これらを組み合わせることにより良い数値解析結果が得られた。           
  4)本論文では、アダプティブハイブリッド/混合有限要素法をいろいろな構造解  
  析問題に応用した。例えば、三次元軸対称問題として、ラップ接着された円筒体  
  の応力解析などに応用した。直交異方性板について、新しいハイブリッド/混合  
  有限要素法を提案し、集成材からなる複合板の応力解析に応用した。極座標を用  
  いたハイブリッド/混合有限要素法を提案し非対称荷重を受ける円板の問題に応  
  用した。また、三次元の立体要素も提案し、高精度の解を得ることができた。     
   これらの数値解析結果よりハイブリッド/混合有限要素法が変位型有限要素法  
  より少ない要素で高精度の解が得られることを示した。本論文の研究成果は構造  
  工学の分野で広く応用されることができ、建設技術に貢献するものが多い。       
   よって、本論文は博士(工学)の学位論文として合格と認める。               
  以上の研究成果は国内外の学会論文誌などに発表された。                       
  1. Mei Duan, Yutaka Miyamoto, Shoji lwasaki,  Hideaki Deto  and Benkuan Zhou,  
  "An efficient six-node plate bending hybrid/mixed element based on Mindlin/ Reissner   
  plate theory", Structunl Engineering and Mechanics,An lnternational Journal,  Vol.5,   
  No.1, pp.69−83, 1997.                                                      
  2.Mei Duan, Yutaka Miyamoto, Shoji lwasaki and Hideaki Deto, "Hybrid/mixed   
  finite element method for circular plate bending",Journal of Structure Engineering   
  (JSCE), pp.323−330, March, 1998.                                            
  3.段梅,宮本裕,岩崎正二,出戸秀明,"ハイブリッド/混合有限要素法によるラップ  
  接着された円筒体の応力解析". 鋼構造論文集, pp.107-116, 第5巻, 第19号, 1998  
  年9月                                                                     
  4. Mei Duan, Yutaka Miyamoto, Shoji lwasaki and Hideaki Deto", 5-node   
  hybrid/mixed finite element based on Reissner-Mindlin plate bending theory", Joumal 
  of Finite Element Analysis and Design,   An lnternational Jouural, Vol.33, No.3, 
  pp.167-185, 1999.