短歌
白石念舟氏の作品を紹介したいと思います。
西域を旅して<キルギスタン・新疆ウイグル>
ウルムチの夜 歌舞団とのパーティ 1 胡旋舞に 髪も廻りて 足もとを 見つめて想う ウイグルのクュズ(娘) 7・15日 2 麗しき 西域の歌舞 目前に 交わり深む 倭人なる我 〃 ウルムチ〜ビシュケク機上にて 天山は 氷室となりて 氷河かな 3 神々しき タングリタオの 上空を 飛天の如く 飛天の如し 7・16日 (ウイグル語で神の山、天山のこと) 4 天山は 氷室となりて 連なりぬ 氷河はとけて オアシスとならん 〃 5 天山は 氷に冴え渡り 輝かん タングリ住みて 地をばうるほす 〃 ひ 6 遥か越ゆ 天山の峰 尽きるかな 眼下猶了 サイラムならん 〃 たゆたう ビシュケクの町 7 革命の 理想は高き 記念館 ミハエルフロンゼ 面影やよし 〃 8 物売らん 姉弟の店 小さくて シャッター降ろす ビシュケクの町 〃 バザールにて 9 日や高し 人みな勤く バザールの 喧噪の中 孔雀勤かず 〃 10食の山 ウシウマ羊 肉さがり チーズはちみつ 薬味数々 〃 イシクル湖畔チョルポンアータにて 11大輪の バラ咲き研う アルカディア イシクルの風 心地良きかな 7・17日 12クムス弾き 語りて歌う キルギスの 牧民の心 深くかなしも 〃 13三味線の バチの手強し 音弾け 日本キルギス 風土違いて 〃 14人々の 憩う土地なる イシクル湖 前にテレスケィ うしろクンゲィ 7・18日 15澄みきった イシクルの海 静なり 風凪ぐ面に 太古を想う 〃 16キルギス人 日本人なる 我を観ん 同じ思いや なんとにたるか 〃 l7もてなさん 羊屠りて 牧民の 心熱くして まろうどを待つ 〃 (客人) 18チャイいかが 少年の顔 亭主なり もてなし心 我いざ受けん 〃 キルギス草原の一日 l9ナリンなる 貧しき町を 過ぎ行きて 果てなく続く 草原にいず 7・19日 20草原の 遥かに遠き 丘の上 一匹の馬の 勤かざりける 〃 いちび 21なにぞ見ん 動かざる馬 遠くあり 弧高の気々や 草原に満つ 〃 22草原の 一望続く 中程に 馬の遊ばん 姿ながむる 〃 23馬乳酒を 子等に飲まして 客人に すすむ心や キルギスの民 〃 きゃくじん 24キルギスの 草原に生きる 子供等の 客人の上に 好奇なる目を 〃 まれびと 25牧民の 娘より英語の 言葉出づ 出会いの旅や ドラマ起りて 〃 26草の原 一路めざさん 天山の 山並み近く 馬ぞ遊びて 〃 27草青く 原遠くして 丘遠く 山さら遠く キルギスの地や 〃 28草原の 果てに横たう 天山の 神々しき内に 国境ありて 〃 こうごう 29極楽も 地獄も一重 天山の 内にぞ住める 神に祈りて 〃 30天山に 住める神々 眼前に 祈りて通る 国境かな 〃 くにざかい 国境を越えて新疆に入る 31一本も 一草も無し 道ゆかん カシュガル目ざし ひた走りぬく 〃 32地獄なる 露岩奇岩の 山並みを 縫い走りつつ 天山下る 〃 33容赦なし 日射し鋭く 山の端に いまだ沈まん 熱嵐の道 〃 34無常なる 岩肌諸に 草木なし 悪夢見たるか 玄奘の旅 〃 カシユガル市内 35香ばしき ナンを頬ばる チャイハナは 道に敷たる 絨毯のうえ 7・20日 36ナン食べて ウイグル古老 挨拶に チャイを飲みつつ 耳を傾く 〃 エイティンガル寺院を見て 37空高く ミチェット聳ゆ コーランの 声朗々の 響き聞きたや 〃 38祈り場の 広きモスクの 内に入る 色とりどりの 絨毯の上 〃 39メッカさして 八億の民 心向く ムスリム人の 想い遥けき 〃 はる 香妃廟 40なんとなく 香妃の話に 誘われて 廟見る我の おどろしきかな 〃 41絹紡ぐ 繭の匂いに 誘われて シャッターおろす 香妃廟の前 〃 職人街 42絨毯を 織りなす姫と 話す我 笑う面よし 手は止めずして 〃 おも 43ドタールを 数々吊す 店の中 作り続ける ウイグルの民 〃 44銅板を 叩きて作る 少年の 細き手が成す 菊花瓶かな 〃 45赤銅を たたく姿の 無心なる ざるヤカンナベ 姿まちまち 〃 ウルムチにて 46ミイラ見る 干からぶ人の 太古なる 姿とどめて 不思議なるらん 7・21日 大会堂の宴 47宴きわみ 酒もて廻る ウイグル娘 高き歌声の 牧民の歌 〃 12ムカームを見て(オンシッキムカーム) 48ムカームを 生み育みて 楽しまん ウイグルの歌舞 素晴しきかな 〃 音曲の意 49ゆっくりと 歌声高き ムカームの 楽士踊り子 一体となりて 〃 50胡旋舞に 高きに杯を 上ぐるかな 詩をもて残る 盛唐の夜 〃 51歌姫の 歌声高き 歌のよし 舞姫の舞 廻る舞かな 〃 トルファンにて 52葡萄もて どうぞどうぞと 少女等の こぼるる心 わが手に受けん 7・22日 53少女等に ヤクシムシィズと 声かけて 共に写らん アスターナの昼 〃 (ウイグル語でこんにちは) 54昼さがり ロバ乗る子等に 声かけて 写し絵とりて 我を満たしぬ 〃 55棚の下 豊かに実る 房おもし カレーズの水 いずくより来る 〃 56峰々の 麓よりいず 清きスウー 導きいでて 緑なるらん 〃 57葡萄棚 下にて食す ラグメンの 羊の肉の ほの甘きかな 〃 58病あり 砂浴治療の 暑きかな 砂かけうずめ 身をば横たう 〃 59トルファンや 熱の砂山 パラソルの 下にて癒す 病持つ人 〃