日本シルクロード倶楽部
2001新疆の旅

9月2日 いよいよイリに行く日が来た。先導者はムヒット夫妻だ。目的はヌルタイ・アジに会う 事、サイラム湖を見ることなどであるが、やはりシルクロードのステップロードを車で 走ってみたいのだ。ジュンガルの広さを体験したい、イリ川はどんな流れをしている のであろうか。未知の風景に出会えるのは心弾むことだが、イリまで車で10数時間、 7百数十キロはこたえるだろう。 ウルムチからクイトンまで高速道路は快適、ウースーから先サイラム湖まで一般道路、 しかし大変であったが、ジュンガル部の広大なる大地は、我が心の中に入った。 サイラムを過ぎると下りに入るが良い道だ。下りに入って30分ほどで、ヌルタイ・ アジの別荘に到着、夕方6時である。 彼は国の経済開放に乗って国境貿易で財を成しつつある人物である。隣のCIS5カ国 より、牛皮を年間45万枚集め1次加工している。その他の事業にも手を染めている らしいが、興味を抱いた事は、私費で孤児を集めて小学校教育をしていることである。 学校の規模は生徒180名全寮制でやっており、将来は360名まで受入れを計画して いると云った。 アジの別荘では一家を挙げて迎えてくれ、早速屠りたてのカワップを出してくれた。 さすが日本で食べるものと雲泥の差があり、はじめての美昧さに大いに感激した。深い 谷の中、別荘のまわりに立つ1O数のバンガロウ、尋るとアジの学校の生徒が夏休みに 利用するという。カワップを焼く煙が昇って山肌に消える。夕暮れ一時の風情を楽しま せてもらった。 夕闇が迫る中一路イリに向かうが、満月がポプラ並木の下より上がってくる。 こんな大きな月を見たのは初めてだ。 行く先に、満ちて輝く、大いなる、月は浮かびて、大地離るる。


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