紛らわしい問題を出しますね。
正確に覚えていないと、間違いそう。
作る人の苦労も考えさせられた。
○仏教の中国伝播（でんぱ）について述べた文として正しいものを 次の(1)〜(4)のうちから１つ選べ。 (1)玄奘はインドで学んだ後、帰国して上座部の開祖となった。 上座部仏教は中国の伝統的仏教だから、玄奘が開祖とはいえない。 だから間違い。 (2)法顕は西域経由でインドに入り、帰路は海路を利用した。 これは正しい。 (3)鳩摩羅什は隋王朝に招かれて、訳経事業に従事した。 鳩摩羅什は前秦王苻堅(ふけん)の命を受けた呂光(りょこう)に招かれ 中国に来たから、隋のはるか以前のこと。これは間違い。 (4)義浄はインドや西域での見聞を、「大唐西域記」にまとめた。 「大唐西域記」は玄奘の旅行記。だから間違い。 正解は(2) ○中国王朝の宗教政策について述べた文として正しいものを 次の(1)〜(4)のうちから１つ選べ。 (1)前漢末期、王莽が実権を握るに及んで儒教は排斥された。 王莽が儒学を学び、新王朝をうちたてると儒教国家をめざした。だから間違い。 (2)北魏の太武帝は、道教を禁止する政策を断行した。 太武帝は道士寇謙之をかかえ、仏教を弾圧した。これも間違い。 (3)元朝は、イスラム教を国教として保護し、多くのイスラム教徒を登用した。 元朝は広い帝国を治めたから、その地域は他民族にわたり、 その結果、宗教もイスラム教、ラマ教、キリスト教など多くの宗教を認めた。 だから間違い。 (4)清朝は、イギリス・フランスとの北京条約（1860年）でキリスト教布教の自由を認めた。 これは正しい。 正解は(4) ○白蓮教について述べた文として誤っているものを 次の(1)〜(4)のうちから１つ選べ。 (1)紅巾軍は、白蓮教系の組織である。 紅巾軍は、元末に綿布の行商人であった徐寿輝が起こした反乱軍のことで、白蓮教系の組織である。これは正しい。 (2)上帝会は、白蓮教から派生した宗教結社である。 上帝会は、太平天国の乱を起こした洪秀全がキリスト教をもとに創始した宗教団体である。 これは間違い (3)白蓮教は、弥勒（みろく）仏が現世を救済するために現れると主張した。 これは正しい。 (4)１８世紀末に勃発（ぼっぱつ）した白蓮教徒の反乱は、清朝の財政を圧迫した。 白蓮教徒の反乱に軍事費を費やした清朝は財政難に苦しんだ。これは正しい。 したがって答は(2) ○始皇帝の行った政策について述べた文として正しいものを 次の(1)〜(4)のうちから１つ選べ。 (1)江南と華北を結ぶ大運河を建設した。 大運河を建設したのは隋の煬帝であるから、これは間違い。 (2)地方行政制度として、全国に郡国制を施行した。 始皇帝は郡県制を施行したから、これは間違い。 (3)統一貨幣として、半両銭を鋳造した。 これは正しい。 (4)商鞅を政策顧問として登用した。 法家の商鞅が政策顧問をして秦の基礎をきずいたのは始皇帝より１００年以上も 前のことだから、これは間違い。 したがって答は(3) ○漢代の西域経営について述べた文として正しいものを 次の(1)〜(4)のうちから１つ選べ。 (1)武帝による張角の派遣を機に、西域の事情が漢に伝わった。 武帝が西域に派遣したのは張騫である。 張角は後漢末に蜂起した黄巾(こうきん)の乱の首領なので、これは間違い。 (2)後漢では、班超が西域都護となり、西域経営を推進した。 これは正しい。 (3)後漢は、西域経営策の一環として、張騫を大秦国に派遣した。 張騫を遣わせたのは、前漢武帝である。これは間違い。 (4)漢の西域経営の進展により、柔然は衰え、分裂するに至った。 柔然は5〜6世紀にモンゴル高原を支配した遊牧国家。 北魏を圧迫したが、突厥に敗れ滅亡した。 したがって(4)は間違い。 ゆえに正解は(2) ○１０世紀以降、政治的高揚を見せるようになった中国周辺諸民族の間には、 独自の文字を作る動きが盛んになった。この状況について述べた文として 正しいものを、次の(1)〜(4)のうちから１つ選べ。 (1)高麗では、現在も使われている民族独自の表音文字が制定された。 ハングル文字は李朝第4代世宗の時代１４４３年に創られたものなので、 これは間違い。 (2)タングート族は、１１世紀ごろ漢字を模して、パスパ文字を作った。 パスパ文字は、元代にチベット人パスパがモンゴル語や中国語を 書写するためにつくった文字で、1269年に公布されたものである。 これは間違い。 (3)陳朝時代のヴェトナムでは、字南（チュノム）が使用された。 陳（チャン）王朝は１３世紀にベトナムを支配した王朝で、これは正しい。 (4)西夏では、契丹文字と漢字をもとにして、女真文字が作られた。 西夏では西夏文字が作られ、女真文字は金を建国した女真族 が作った文字である。だからこれは間違い。 正解は(3)