<<研究概要>> 1.背景概説 近年,集成材を主材料とする木橋が公園などを中心に架設されている.この背景には 木材加工,防腐加工技術の進歩により,木材を集成材として利用することにより 強度・品質が安定した,長期耐久性にに優れた大断面集成材の製作が可能になったこと が挙げられる. 集成材はひき板を積層圧縮接着して工業的に生産されるため,長大材や湾曲材が比較的 容易に製造できるという利点がある.しかし,長大材や湾曲材は工場からの運搬が困難 なことから,数部材に分割し現場で連結することが一般的である.そのため,集成材を 用いた木橋は,各部材の接合部の他に,分割された部材をつなぐ連結部が必要となり, その連結位置や連結方法が,構造物の静的及び動的特性に多大な影響を与えること が考えられ,その剛性評価は重要な問題となる. 2.研究目的概説 衝撃応答解析に基づくバネ定数の推定法(実橋打撃試験による加速度応答波形に衝撃 応答解析から得られる加速度応答波形が近似するようにバネ定数を収束させる手法) の実橋への再確認と検討. そのため,実橋の解析モデルには岩手県下閉伊郡田野畑村思惟公園1号橋(唐松集成材を 主材料とする下路式アーチ形式歩道橋)の連結部に着目した. 3.実橋実験 実橋実験は9月29日に実施し完全に終了. 3.1.実験目的 ・モデル橋(思惟公園1号橋)の加速度応答波形を測定し、固有振動数を求める. ・測定位置と連結部などの位置関係を把握する. ・解析プログラムの実橋への適用の検証. ・鋼板による加速度応答波形の反射,屈折の発生,干渉現象の有無の調査. ・ねじり打撃による実橋の動的挙動を知る.
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